「確定給付企業年金法」成立


企業年金(厚生年金基金や税制適格退職年金など)の加入者保護強化や企業負担の 軽減を進めるための「確定給付企業年金法」法案が6月8日の参議院本会議で可決成立 しました。

 厚生年金基金の代行部分の負担や退職給付会計の導入で積立不足の償却をしなけれ ばならないなど現在の企業年金は様々な問題を抱えています。


 「確定給付企業年金」は予め将来の年金給付を決めておく年金で以下の3つの制度 に再編されます。  

@既存の「厚生年金基金」  

A代行部分を取り除いた「基金型企業年金」  

B現在の適格退職年金を改良した「規約型企業年金」  

現在の適格退職年金は平成24年3月31日までに他の制度に移行されることになります。

 


(厚生労働省ホームページより)

確定給付企業年金法の概要  

確定給付型の企業年金について、受給権保護等を図る観点から、労使の自主性を尊 重しつつ、統一的な枠組みの下に必要な制度整備を行う。これにより、公的年金を土 台としつつ、確定拠出年金と相まって、国民の自助努力を支援する仕組みを整備す る。

1 制度の枠組み

(1) 企業年金の新たな形態として、規約型(労使合意の年金規約に基づき外部機関で 積立)と基金型(厚生年金の代行のない基金)を設ける。

(2) 老齢給付を基本とし、障害給付、遺族給付も行うことができることとする。

(3) 給付や積立などについて必要最低限のルールを定めた上で、労使合意に基づき、 より柔軟な制度設計を可能とする。

(4) 税制上の措置    

 ・拠出時:事業主拠出は損金算入、本人拠出は生命保険料控除の対象    

 ・運用時:特別法人税を課税(ただし、平成14年度まで凍結)    

 ・給付時:年金の場合は公的年金等控除の対象とし、一時金の場合は退職所 得課税を適用(老齢給付)

2 受給権保護のための措置

(1) 積立義務:将来にわたって約束した給付が支給できるよう、年金資産の積立基準 を設定する。

(2) 受託者責任の明確化:企業年金の管理・運営に関わる者の責任、行為準則を明確 化する。

(3) 情報開示:事業主等は、年金規約の内容を従業員に周知し、財務状況等について 加入者等への情報開示を行う。

3 その他

(1) 厚生年金基金について、代行を行わない新企業年金への移行を認める。

     代行返上の際には、一定の条件の下に現物による返還を認める。

(2) 適格退職年金については、経過措置を講じて、10年以内に企業年金制度等へ円滑に移行できるようにする。


規約型のスキーム図


 

基金型のスキーム図


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